『三国志 Three Kingdoms』

中国の歴史ドラマ『三国志 Three Kingdoms』の視聴を終えました。
約45分×95本
昨年末から視聴を始めて観終わるのに6か月近くかかりました。人生で見てきた単一の映像作品の視聴時間としてはぶっちぎりの一位です。

かなりの話数ですが、とにかくサクサク展開するので毎回次のお話が楽しみでドンドン観進めることができました。三国志を題材とした作品に十数年ぶりにちゃんと通して触れたので、出てきた新キャラに「こいつおったなー!!!!!!!」ってなったり、「豚殺してるだけだってば・・・・・!!」とか「馬謖がイキっとる・・・嫌な予感がするね!!」とかなって、懐かしさと合わせて完全に忘却の彼方にいっちゃってたストーリーや人物を知り直す楽しさもありました。
基本的には晩御飯を食べるときに観ていたんですが、20,30話視聴こなしたあたりからは、ご飯を食べ終わっても空のお皿を手元に置いたまま三国志を見続けているということもしばしば。逆に80話を超えたあたりからは「こんなペースで見てたらもうすぐ終わっちゃうよ・・・・・・! 😭」ってモードに入って、晩御飯後の視聴を律していたほどです。
とにかく目が離せない!そんな気持ちのまま進んでいく45分×95本の視聴は、とても楽しい体験でした。

たぶん最後に触れた三国志モノって、ゲームでは無双シリーズを除くと三国志9だと思うんですけど、映像作品としては高2ぐらいの頃にキッズステーションやってたアニメ横山光輝三国志の最終回が赤壁で終わったのをみて「はい・・・・・・・?」ってなった事件っきりだったので三国志の映像作品に対する印象がアレな感じでアレだったんですよね。
その点も今回の件で上書きされて良かったです。

せっかくなのでこのドラマで特に印象に残ったシーンや事柄をまとめておこうと思います。

劉備に対する「お前誰やねん」っていう感情(第4話)

序盤の反董卓連合のくだりまではほぼほぼ曹操視点で描かれていってたので、諸侯の集まりに突然リュウビとかいう輩が入り込んできて「力自慢のマブダチ連れてきましたわ」とか言い放って「俺、劉勝の末裔なんで。やったるでー!」とか言い散らすシーンまじで「誰やねんお前」以外の感情がわかなかったんですよね。結果、この印象を最終話まで引きずりました。
あとは劉備陣営の由縁採用っぷりと肝心な時にずっと精神論でブチかましていく様、そして1人のマブダチの死をきっかけにトップがメンタル崩してヤケクソして国が壊れる流れが、集団でコトをなす際にやっちゃいけないことを一通り見せてくれている感じがして学びが深かったです。どんどん諸葛亮がないがしろにされていく流れあたりからは、こんな勢力が天下なんて取っちゃだめでしょって気持ちになっちゃってました。で、体勢を崩してからはもうカルトそのものに見えてきて。

カルトの極みだなって気持ちに達したのが第88話。諸葛亮趙雲の死の報せを受けたシーン。
諸葛亮が「遺言は?」と尋ね、遣いの者が『遺言は申しませんでした、3度叫んだだけです』と答える。
「なんと叫んだ?」とさらに問うと、遣いの者はつらそうに『・・・・・・北伐!・・・・・・北伐!・・・・・・・・・・・・・・・北伐!』と。
で、これ聞いた諸葛亮が号泣してるんですよ。でも1つ前の87話で、泣いて馬謖を斬ってるんですよ。趙雲とかいう古参メンの死を目の前にするとまた精神論にやられてまた北伐したくなっちゃってるの大丈夫なのか??天下とる気あるか?????ドン引きです。やはり諸葛亮にだけは最後までしっかりしておいてほしかった。(もちろんこれが叶わぬ願いなのは知ってるんですけども。)

とまあこのテンションで最後まで来てしまったもんだから、司馬懿を焼き殺せそう☆ってなった直前で土砂降りの雨が降ってきて、滝のような雨の中で「λ…」な姿勢で呆然と立ち尽くす諸葛亮のシーンはたぶん95話中一番笑ってしまいました。正直、ゲラゲラ笑った。もう完全に、「ショートコント!火攻め!」を見ている気分。蜀に「ほら見ろ!!!!!!!」ってなったのはこれが初めてです。いや、まあ関羽がほぼ実質自滅する流れでもめっちゃ思った気もしますが・・・?

全体を通して、学生時代の自分が三国志作品で蜀に肩入れしていたことが不思議になってきました。このドラマではどうしても「ああよかった。蜀が滅んで。」という気持ちになってしまいました。それが自分にとって新鮮で、面白かったです。

孫堅パパの死(第7話)

奇襲され、身体に矢を受けて死を受け入れた豪傑孫堅。わが子に「離れたくない!」と言いながら号泣しつつ、わが子を部下へ託す。
全エピソードを通じてあまたの死亡シーンを見ることになりましたが、この散りざまが一番感動しました。反董卓連合においても血気盛んに豪傑っぷりを発揮(・・・させてもらえなくてイライラしてたという感じなんだけども)し、死をも恐れぬ姿を見せつけてくれていただけに、ふと1人の人間に戻って我が子との別れに耐えられないその様子にやられてしまいました。
呉は全般にわたって「家族」を意識させるシーンが印象に残っている気がします。後々では、孫小妹と呉国太がお互いに直接言葉に出さないながらも別れを悟るシーンはとても感動的でした。あと、孫権と呉国太のほぼギャグシーンと言ってもいいレベルの掛け合いは微笑ましかったなあ。

赤壁の戦いから帰還した部下への曹操からの激励(第43話)

赤壁の戦いでボロ負けした曹操陣営。なんとか命が助かって国に帰り着くことができた部下たちが悲嘆に暮れていて、完全に『お通夜ムード』。(まあ実際に数十万人死んでるんですけどもね。)
率いて連れていた3000の兵を失ってしまったことを泣いて詫びる武将に曹操
「されど生きている!」
「俺は寝たら忘れた!」
「3000の兵で足りなかった?次3万やる!・・・笑え!!!!!!!!」
と言って、その場にいる部下たち全員(※寝ていた司馬懿を除く)に負けて腐ることなかれと、負けを経験できたことの大切さを力説するんです。このシーン、最高のトップだわあ・・・、というのが率直な感想でした。

失敗した人の前ではこうありたいものですし、ちゃんと責任の所在が自分にあることをはっきりとさせて鼓舞するカッコよさに惚れました。作品中において多々演説を見たわけですが、これが全エピソード中最高に響いた演説となりました。
悲惨なボロ負けと敗走中に何度も殺されそうになる天丼シーンが良い前フリですね。

あともうとにかく死ぬまで曹操がカッコいい。前半は曹操メインの演出だったから余計にそう感じてしまっているのかなあ・・・。とにかく付いていきたいと思わせてくれるキャラクターでした。

共に死することを覚悟した兵士たちと司馬懿親子の会話(93話)

諸葛亮の計略にハマって火攻めに合い、さあいよいよ自害しようとする司馬懿。必死で止める息子、司馬昭。これまで何度も戦いを共にした部下たちも司馬懿の退却命令を聞かず、ともに死のうとしていて。

司馬懿は人心を集める人物であるような描かれ方はあまりしてないんですが、何度も前線で共に戦ってきた兵士の心が動いちゃってるのがすごく良い。これを司馬懿は想定してなかったろうなあという感じが。この少し前に、政治的都合で前線から司馬懿が一度引かされるのですが、その際も思わず部下たちが司馬懿の乗る馬車へ駆け寄って来るシーンがあったのですが、それがこのシーンにつながってきているのも良くて。この流れにおいて、得体の知れなさみたいなものをずっと漂わせていた司馬懿が、いよいよ死を前にしたときに兵士たちへの感謝を述べたことにぐっときちゃいました。

45分×95本を見終わったエンディングにて

最終回は何進の祠に始まり、曹操との掛け合いが回想で流れたりもして。最終幕は司馬懿の死。なんとも儚い・・・。
壮大なテーマ曲と共に、ナレーションで司馬懿の死からその先の晋の興りと三国時代の終焉とが語られていきます。
すごい勢いで。
ものの30秒で天下が統一されました。

45分×95本。長かったね。6か月近くかかったね。

なんかいま魏も呉も蜀もおもいっきり国ごとナレ死したけど、感動でいっぱいなので気にしません。
こうして司馬一族の晋の時代がやってきたんだ。

ああ、終わった・・・。
このエンディングテーマを聞くのも最後かあ・・・。

と感慨にふけろうとしていたまさにその瞬間、
画面右下に松崎しげるが現れました。

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確かに相席食堂も視聴途中ではありますが。
もう感動もへったくれもありません。雰囲気ぶち壊し。これまで便利に使ってきたチョットした機能にここまで感情の動きを台無しにされるとは。

amazonよ、こういう事故が起きるんだからね。
最終回から別作品の視聴につなげようとしてくるのはやめてね。

かくて魏呉蜀は滅んで晋が天下を統一し、残ったものはただ一人、松崎しげるのみであった・・・!